現地レポート世界LGBT事情を読む7(米国のゲイ地区)


アメリカのゲイ地区(ニューヨーク以外)に関する記述があったので、羅列してまとめてみます。

(あくまで筆者フレデリック・マルテルの視点であり、客観性は担保しておりません)

テキサス州

保守色が強いとされる南部のテキサス州では思いのほか、三大都市ヒューストン・ダラス・オースティンでゲイ地区が成熟しているようです。
かつてはゲイの店はなく、支援団体もほとんどなかったテキサスですが、今では都市部を中心にゲイバーやゲイプライド、LGBT映画祭が開催され、教会までもが同性愛者を教区民として受け入れています。

ゲイバー『Houston Eagle』。短髪ガッチリ野郎がゴロゴロひしめいております。
 青年であってもボーイッシュな未熟さをほど良く醸し出す、モテゲイの魅力。

アメリカンっぽ~い(笑)

アメリカのとある世論調査によると、ルイジアナ・ミシシッピ・アーカンソー・アラバマ・テキサスなどの南部州では同性カップルが子供を持つ割合が他の地域よりも高いというデータが出たそうです。
子育てする同性カップルはヒスパニック系や黒人に多く、なんと白人の2倍!
んー・・逆境に立たされている人ほど安定な暮らしを強く求めるということでしょうかね?(;´Д`)
テキサスのゲイ地区は新宿二丁目のように特定の地域に密集しています。
共和党の勢力が強い州なので一種の自己防衛的な意味合いがあると考えられますが、レッドステート(共和党が強い州)でも都市部では地縁的なつながりが希釈されることでリベラルな色彩が濃くなり、ゲイ地区が醸成されたといいます。
また、米国の小売最大手・ウォルマートがゲイフレンドリーなイベントや売り場をプッシュアップしながら地方に大型店舗を構えたことも要因なんだとか。

カストロ地区(カリフォルニア州サンフランシスコ)

世界的に知られたゲイタウン、カストロ地区!
俺も一度は訪れてみたい場所です(っ´ω`c)

↑カストロ地区の代名詞の1つ、レインボー交差点。
 虹の上を歩行者が渡っていく。

1970年代以降、マーケット通りから地下鉄カストロ駅までにいたる一帯にゲイの店が軒を連ねます。
この地区では市の政令によって、なんと裸で練り歩く権利まで認められているそうですw(゚ロ゚)w
(リベラルの真骨頂=裸族??)
*追記
2012年に公共の場で裸になることを禁ずる条例案が成立(AFP通信
『海辺やストリート・フェスティバル、パレードなどでの裸は認められる』とのこと。

筆者のお勧めは、カストロ通り429番地にある映画館で催される『オズの魔法使い』の歌の集いだそう。扮装を凝らしたゲイの演者がミュージカル映画に合わせ、皆で合唱するそうです(´Д⊂)コワイ

なぜ、サンフランシスコでゲイのメッカが誕生したのか。
ときは19世紀のゴールドラッシュ
未開であった西海岸沿いに金鉱が発見され、西部開拓がはじまります。移住してくる多くの人びとは鉱山労働者で、男女比では男性に大きく傾きます。生まれつきかどうかはわかりませんが、若い男衆が集えば往々にして同性愛的な現象が自然発生するもの。新たに開拓された土地の初期段階では管理当局の規制が緩いのか、男女問わず売春婦が夜の街をうろつくほど性の解放意識が高かったそうです。
また、太平洋戦争時、西側戦線を固めるSFの米軍基地や造船所では地方から兵役に借り出されたゲイたちがやってきたものの、ゲイであることがバレたり、カミングアウトしてしまうと、米軍の禁止規定に基いて除隊されてしまいました(当事は同性愛行為が違法であった)。
行く当てを失ったゲイは、『保守色の強い故郷に帰ってもどうせ街も親も自分を受け入れてくれない、せっかく都会に来たのだからここで自由を楽しもう』と。
こうしてゲイのメッカが萌芽します
ちょっと変わったナイトクラブの原点が芽吹きました。

カストロ地区では著名なゲイ運動家で知られる元SF市議ハーヴェイ・ミルクの映画上映や、LGBTの歴史博物館もあるので、興味のある方は足を運んでみてはいかが?(・∀・)

ウェストハリウッド(カリフォルニア州ロサンゼルス)

こちらも西海岸。
トイレ論争では、公営施設におけるトイレでの性自認による使用を義務付けた条例をだすほどのリベラル地帯の一角です。
サンタモニカ大通り沿いに沿って、およそ500mにわたりゲイバーや書店、カフェなどが30軒以上並び、通りの両端には地区の境界線の役割を演じているようにスタバがポツンと建っています。
大通りに面した細長い帯状にゲイ地区が広がっている模様。


↑サンタモニカ通りはウェストハリウッド・プライドの行進経路。
 背中にカラフルなイソギンジャクを背負っている。

↑調べてみると、スタバはつぶれたようだ( ゚ェ゚)・;’.ブッ
 おいしくないのに値段が高いからか、味に敏感なゲイたちが寄り付かず、
 やってくるのはろくにコーヒーを注文せず、
 携帯やパソコンの充電目当てにくるホームレスだったそう(笑)
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パームストリングス(カリフォルニア州)

西海岸多いな(;´Д`A
聞いたことない場所なので地図で確認。
   
ロスの東方。ちょっと内陸にある砂漠地帯。
ここは住民の3分の1がゲイだといわれています(えっ・・)。
住民になる特殊なツテがあるのかも

ゲイタウンと知らずに赴いた犠牲者もいました。
→アメリカ依存症♀
ホテルに備え付けられたフリーペーパをみたら、
やけに上半身裸の男性の写真が多いことから発覚したそうです
 
おそらく、ゲイ用の旅行会社でたくさんツアーが企画されているんだろうな(ププ)
カリフォルニアの砂漠地帯の真ん中にある陸の孤島。
ノンケの皆さんもエキサイティングな夜が楽しめるスポットです。

デトロイト(ミシガン州)

ここではエリアごとにカラーが異なるといいます。
北側の郊外にある、主に富裕層が住むファーンデイルには白人のゲイバーが林立し、デトロイト市街地のほとんどを占める黒人ゲットーから遠く離れたこの郊外で遊ぶのは、比較的恵まれた若者たちが集まります。
(→デトロイトの多くは有色人種。白人は1割ほどしかいないんだと
デトロイトに行った人いわく、カナダ行きのバスターミナルでは黒人95%、白人4%、その他1%だったらしいw(゚ロ゚)w
治安面は回復傾向にあるようだが、それでも予断は許されないとのこと)

一方、西側に位置する郊外、ディアボーンはフォード車の工場がある工業地帯ですが、それほど豊かではありません。ゲイバーもあるようですが、白人の割合は少なめ。

↑検索してもデトロイトの写真がなかなかヒットしなかった(-ω-;)彡
 他の地域と比べて地元密着なひっそり感が漂います。

メサビ鉄山とアパラチア炭田、五大湖の水運を活かして発展した自動車の町・デトロイトですが、
2009年のゼネラルモーターズの破綻を皮切りに急速に荒れ果て、一時はゴーストタウン化しました。
遅れて工業化に成功した南部のサウスベルト地帯とは対照的に、冷え込んでしまったノースベルト。
南北格差の逆転も時代の変遷でしょうか。。

ここ数年の間、ダウンタウン中心部の荒廃がひどく進んだ地区でもゲイの店が進出し、カナダの国境でもあるデトロイド川近くで極貧を生きる黒人ゲットーにゲイバーが登場したことが、この街の再生の一助になっているそうです

著書では他にもコネティカットやらボストンやらシカゴ、ジョージア州、ミズーリ州、アリゾナ州など、たくさんのゲイ地区が紹介されていますが、あまりにも数が多いのでここまでで(つω`*)
アメリカ1国のなかでもゲイ地区の態様は多種多様で、一概には語り尽くせないことがわかりました。
新宿→雑多 上野→デブ専 浅草→フケ専 新橋→スーツ専みたいな単純な趣向の区別とは違い、地域ごとに背景や歴史があるのだなぁと・・。日本のゲイタウンにもそういったものがあるのかもしれませんが、アメリカのゲイ地区では地理的に距離が離れているからこそ、その差異が際立っているのかもしれません。

また、全体の傾向をみると閉鎖的なゲイ地区が分解し、一般社会に溶け込んでいるように見えます
子供をもつ同性カップルが増加してヘテロとゲイが交じり合う機会が増え、両者の社会統合が進んだ印象を受けます。そこに全米での同性婚合法化(2015)が後押しし、同性愛者のゲットーは例外化され、マジョリティだけでなくマイノリティの意識も変貌していったと考えられます。
一般社会への同化ですね。
それでも海外のLGBT系メディア(PinkNewsとか)では、ゲイが殴られた写真が定期的に報道されています。件数は少なくなってきているとは思いますけどね(-ω-;)彡

また、デトロイトのようにゲイ地区が地域社会の再生に寄与する場合が全米で散見するようです。
都市部で家賃が手ごろな治安の悪い場所(スラム的な?)→ゲイや無名なアーティストなどが地方から移り住む(アングラ的な文化の基礎が成立)→アートギャラリーが誕生し、企業家がその街に投資。ついでにLGBTの映画祭も開催される。→主流の波にのる。地価の上昇(ブルジョワ化;ジェントリフィケーション)
地方のゲイにとっては安息して忍べる憩いの場となり、次第に人と金が集まっていく。
そんな感じかな(σ’д’)σ
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