現地レポート世界LGBT事情を読む2(クラウドファンディング)

クラブは政治活動にも熱い。パルスの歴史を辿ると、人道支援を目的とする資金集めパーティ(ファンドレイジング)が頻繁に開かれていることに驚く。最も数が多いのは、エイズ関連活動への寄付を募るパーティだ。乱射事件の少し前には、死ぬ前に中南米を旅したいと願う乳がんの末期患者のためのパーティが開かれた。

アメリカ人が、赤の他人である末期患者の旅費に惜しみなく自らの身銭を切るとは驚きました(゚Д゚)
日本ですと児童の心移植のために海外渡航をするなど限られたケースをのぞき、見ず知らずの他人の個人的な事情にまで金を払える日本人はそうそういないと思います。そこまでパルスが地元住民に愛されていたのかもしれませんが、向こうのクラウドファンディングサイトをみると、無名の個人への寄付に近いプロジェクトが盛んに行われている印象です。寄付文化が社会に根付いているのか…イスラムの喜捨(貧しい者に施しをする)のように宗教的動機によるものなのか。いずれにせよ、仕事や子育てとは違った形で『社会に対する還元』を実践する姿勢には目を見張るものがあります。

 また、米国最大のLGBT団体であるヒューマン・ライツ・キャンペーンの代表も、フロリダ支部と協働して、同性婚合法化運動の資金集めイベントをパルスで何度も行っていたそうです。そして、パルスはゲイコミュニティの場だけではなく、当事者へのセイファーセックス普及の活動だけでもなく、オーランド住民のゲイ問題に対する意識を高める役割も担っていました。ゲイクラブが地元に密着した政治活動の場であったわけです。
アメリカのLGBT団体が政治的に強いのは、あらゆる業界に縦横と広がる組織力と莫大な資金源にあると聞いたことがあります。出世してエリートの立場からカミングアウトし、多額のドネーション(寄付)をしたゲイが団体から何かしらの賞を受け取るシーンをみると、『proud to be gay』には、構成員はコミュニティの成長に貢献して名誉を得る、との意味合いも含むのかもしれません。

ところで、日本でもクラウドファンディングを用いたプロジェクトが増えているのでしょうか。自分は利用したことはないのですが、最近のLGBT関連でもしばし同様の手法が採られているので、どうなのだろうと思いました(・_・?)
LGBT活動に少し詳しい人ならばご存知である著名なアクティビスト(活動家)松中権氏もクラウドファンディングで「OUT IN JAPAN」というプロジェクトを実行しています。
これ

レスリー・キーという裸好きの写真家が性的少数者たちの肖像を撮り、企画展などで展示するものです。
性的少数者は社会的に見えにくい存在なので、権利獲得運動の一環として、マジョリティの意識改革のためにしばし”可視化”が図られます。身近に当事者はいるよ!とのアピールですね。
ページによると、2015年4月からスタートして9回のプロジェクトを終え、1000人以上撮影をしたとか。
OUT IN JAPAN

サイトの感じでは、順調に進んでいる様子です。
しかし、この企画、主にLGBT活動家やLGBTの権利運動を冷ややかにみる一部の当事者から反感を買っています。最近ではレスリーが、有名企業在籍のゲイたちを集めた写真を「The Gay Elite」のタイトルを付してツイートしたことで、ちょっとした炎上騒ぎとなりました。

ちなみに、松中権氏は書籍を出しているのですが、
アマゾンのレビューをみると酷評の嵐が((( ;゚д゚))
LGBT初級講座 まずは、ゲイの友だちをつくりなさい (講談社+α新書) [新書]
松中 権
講談社
2015-05-21

なかには本を読んでないのにレビューを書いていそうな人もチラホラ(汗)
個人的には、松中氏もOUT IN JAPANもあまり関心はありませんが…、
エリートゲイは当初、やや傲慢さを感じましたが、そこまで目くじらを立てる案件でもないかなぁと。
積極的に応援もせず、敵視もせず、そんな感じです。

乱射事件後にわかったことだが、クラブの常連だった若者の多くが、自分が同性愛者であることを両親に告げていなかった。息子や娘の遺体確認に訪れた親が、それを知るという痛ましい事例は少なくなかった。

フロリダであっても、親に言えないものは言えない。ここは日本と似ている。
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