カンザス州やオハイオ州の中産階級以下の白人でストレート(異性愛者)の若者たちがゲイカルチャーに自分たちの居場所を見出す現象をどう説明すればよいのだろう?アメリカのポピュラー文化が社会的周縁部に位置する黒人ゲットーやゲイ地区からしばしば新たな活力を得ているのはどうしてなのだろうか?
ヒップ(hip)とスクエア(square)という、英語のスラングがあります。
ヒップは流行に敏感なイケイケ野郎(ヒッピーの語源)。
スクエアは時代遅れで野暮ったい。スクエアの意味が四角だから、四角四面な頑固親父のような意味合いで、あまり良くは使われないらしい。
ヒップとスクエアが広まるきっかけは、作家のノーマン・メイラーが週刊情報雑誌『ヴィレッジ・ヴォイス』で連載したコラムの名前(ヒップとスクエア)です。
彼はこの2つの言葉を多用して50年代のアメリカ社会の世相を切ってました。
大戦勝利~ベトナム戦争前のアメリカはすこぶる調子の良かった時代で、著しい経済成長から成熟した大衆消費社会へと変貌を遂げたのもこの時期です。音楽の世界ではエルヴィス・プレスリー、演劇ではオードリー・ヘップバーンと、古き良きアメリカの黄金期ともいわれています。
メイラーの「ヒップとスクエア」が大衆の心に響いたのは、わかりやすい対比構造から自分達の身の回りの社会風土を鮮やかに論じたところにあります。”わかりやすさ”は印象に残り、大衆に伝播しやすいですものね。
また、彼は別の雑誌で「ホワイト・ニグロ」というタイトルの論評を掲載し、人種問題とヒップ概念の関連性を説いて、世間の耳目を集めました。
ホワイト・ニグロとは「ニグロ(negro:黒人)の真似事をする白人(white)」
白人なのに黒人と同じ服装を身に付け、黒人ゲットーの隠語を好んで使い、白人の作った音楽よりも黒人のジャズに酔狂するという、黒人に成りきる白人がいるようなのです。
しかも、それが彼らにとっての”ヒップ”。つまり、イケてる対象物であって、自己を黒人に透過させることで喜びを得ているといいます。
日本にいると、白人警察官による黒人の射殺や、それに対する黒人たちのデモといい、バージニア州で起きた白人至上主義者らのデモ活動といい、白人と黒人の争いごとだけが耳に届きますが、逆に黒人に寄り添うどころか、”黒人風”に振舞う白人もいるわけです。
そして、ホワイト・ニグロと同じようなことがゲイ業界でも起きているといわれます。
それが冒頭の「カンザス州やオハイオ州の中産階級以下の白人でストレート(異性愛者)の若者たちがゲイカルチャーに自分たちの居場所を見出す現象」。
日本でも昨今の新宿二丁目はオープンとなりつつあり、ストレートの方々も遊びにやってきますが、アメリカではゲイバーへちょこっと飲みに出かける…だけでなく、ゲイの中で流行っているブランドや音楽を聴き出してはそれを実践したり、仲間内の男の話題にも参加したり、なかにはgay onlyの際どいクラブイベントにまで足を運ぶストレート?がいるらしいのです(゚Д゚≡゚д゚)!?
ここまでくると同性愛者なのでは?といぶかしんでしまいます。
女性が多いようですが男性も混じっており、しかし、セックスのお相手はちゃんと異性なんだとか・・。
モヤモヤしてどっちかはっきりしてほしいですが、これはこれで面白い話なのでOKということで.。゚+.(・∀・)゚+.゚
ホワイトニグロならぬ、ストレートゲイが生まれる理由。
ゲイカルチャーに「自分たちの居場所を見出す」レベルまで達しているということは、
他に自分の居場所がないほど過酷な状況下にあるのかもしれません。
“中産階級以下の白人”という点が気になりますね。
マジョリティー界の没個人化。
同性愛者であれば、同性愛者という枠組みを得られます。
黒人であれば、黒人という枠組みを得られます。
白人の異性愛者はマジョリティのマジョリティなので、
自分のルーツを探すのが難しいのかもしれません。
特別な切り口がないからこそ、異質なものと接する、そんな感じでしょうか。
ただ、毒々しくも中毒性が高い世界ですので、ストレートの方もあまり毒沼に浸かり過ぎると感染しますのでご注意を(`・ω・´)
自分の居場所がゲイカルチャーに依存しすぎて、情緒不安定で荒っぽい当事者もいますからね。
自分もリアルでは適度な距離感を保っているつもりです。
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調べてみるとオハイオ州もカンザス州も住人の8割が白人で、プロテスタントの勢力が強いそうです。なかでもカンザス州には、アンチゲイで名高いウェストボロ・バプティスト教会の本拠地があるのですが、保守的な地域だからこそ、【普通や正常】に対するカウンター精神が精神の奥底でフツフツと煮えたぎったのかもしれません。その反骨精神ははじめは見えないところで萌芽をしますが、やがてメインストリーム化されて表の世界に飛び出します。
アングラやサブカルが主流文化に影響を与える例は、ダンスクラブやオタク文化に代表されるように枚挙に暇がなく、こういった現象は必然の流れかと思われますね。
ヒップホップスターのエミネムも、「ニグロのセンスを持ったヤツが大物になるのさ!」と口にしたそうですよ(^∀^)
よくよく考えてみれば、日本の《イケメン》という言葉。
実はもともとゲイ用語なんだそうです。
あの男イケてる!は、《イケる!面》→ヤレる!顔
つまりセックスできるほどかっこいい顔立ちという隠語です。
他にも、ゲイポルノから発祥したコンテンツがネット文化に華を咲かしている一面もあります。BLや腐女子はゲイ文化とズレもありますが、派生して咲き誇っています。
当の本人たちはよく知らない世界なんですけど
次は何がヒップになるのでしょうね
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